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□優しい人へ
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「りら、私は病気なのかもしれない」

トモの弱音は今に始まった事では無い。
寝間着のままベッドに横たわり呟いた彼女の声は、あっという間に消えていった。
私はその余韻に耳をすませ、静かすぎる部屋で唯一空気を震わせる彼女の喉を見つめながら。

「普段から学校休んでるくせに、今さら病気?」

たまには少し冷たいことを言ってやろうと、からかうように笑ってみせた。

「体が何か重いんだ」

ただの運動不足じゃないか、私がそう指摘すると彼女は頬を膨らまし、体を起こすと着替え始める。

どうやら久しぶりに外に出る気になったらしい。

「りらは?」

連れてくの、という意味を込めて聞いてみると、
「留守番」
そう一言だけが返って来た。

私には話し相手がトモしかいないので、少し不服だ。
でもトモが学校へ行くと余計に暇になるな、そう考えるとどうも複雑な気持ちになる。

二言三言適当に交わすと、カーディガンを羽織った彼女は本当に私を置いてどこかへ行ってしまった。

置いてくなら、ラジオくらいつけてってくれても良いのに。



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