テキスト
□北の海のユン
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いつものように、ユンは海の中でひたすら待ち続けていました。
きっとその日が来ることを願って。
すると、どうでしょう。海の上に灰色の雨雲が立ち込め、すぐに黄色い雷が走ります。
「あのときといっしょ!」
ちょうどユンの真上にある、海の北を旅する大客船から人影が見えたかと思うと、バシャンッ!と大きな音がして、一人の男が海に落ちました。
ユンは迷うことなく、その男を助けに向かいます。
男は気を失っているようでしたので、急いで浜に引き上げようとすると、バシャン!バシャン!と続いて他にも男と女の子が海に落ちました。
ユンは迷いました。この男を浜まで運ぼうとすると、あの二人はきっと溺れ死んでしまう。
けれど、自分一人で三人も助けることができるでしょうか…
ユンが考えて出した答えは、
「みんなたすけなきゃ!」
今度は迷わず、二人の元へ急ぎました。