テキスト

□北の海のユン
3ページ/9ページ


いつものように、ユンは海の中でひたすら待ち続けていました。
きっとその日が来ることを願って。

すると、どうでしょう。海の上に灰色の雨雲が立ち込め、すぐに黄色い雷が走ります。

「あのときといっしょ!」

ちょうどユンの真上にある、海の北を旅する大客船から人影が見えたかと思うと、バシャンッ!と大きな音がして、一人の男が海に落ちました。

ユンは迷うことなく、その男を助けに向かいます。
男は気を失っているようでしたので、急いで浜に引き上げようとすると、バシャン!バシャン!と続いて他にも男と女の子が海に落ちました。

ユンは迷いました。この男を浜まで運ぼうとすると、あの二人はきっと溺れ死んでしまう。
けれど、自分一人で三人も助けることができるでしょうか…

ユンが考えて出した答えは、

「みんなたすけなきゃ!」

今度は迷わず、二人の元へ急ぎました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ