テキスト

□北の海のユン
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「わかってる。ユン、つかれたけど、なんにちかしたら、げんきになる。みんな、ちじょうへつれていく。」

三人は安堵したように、胸を撫で下ろしました。

「ここにいると、おなかもすかないし、くうきも、しんぱいいらない。だから、ユンににんげんのはなしをきかせて」

ユンは人魚が使える魔法で、数日間は人間も暮らせる空間を作った、とのことです。いずれは自分達の世界に戻らないといけないものの、三人ともユンに深く感謝しました。

最初にユンが助けた男は勇敢な男で、竜と戦ったときの話や、腰に下げている剣のことを聞かせてくれました。
剣の腕を磨きながら、冒険の仲間を探す旅をしているようです。

二人目の男は無口なので、あまり自分のことを話しませんでしたが、同じ船に乗っていたという友達の小犬を心配しているようでした。
実は喋ることが苦手なだけで、本当は優しい心の持ち主のようです。

女の子は、とても素直で正直です。ユンの分からない言葉があれば、分かりやすく教えてくれますし、質問にもすぐに答えます。
泳ぎは得意だったはずなのに、ユンが助けてくれなかったらきっと死んでいたわ、と何度も感謝され、ユンは少し照れくさくなりました。
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