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□北の海のユン
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浜辺には、一匹の犬がいました。

「ビルゴ!ビルゴなのね!」

犬は無口な男に駆け寄ると、男の周りをくるくる駆け回ります。

「どうしよう、もう会えないかと思った!でもここにいたらビルゴが迎えに来てくれるような気がしたの、野生のカンね」

「うん。クコ、ただいま」

無口な男がクコと呼ばれた犬を抱き上げると、犬は嬉しそうに男の顔を舐めました。

「まぁ…それにあなた、いつの間に人間の友達ができたのね!」

微笑みながら友達との再会を見守る仲間達に、犬は近付くと身体をすり寄せました。

誰からともなく、これからどうするか…という話になると、

「おれは、姉さん達がどうしてるか気になるから、一回東の国へ戻ろうかと思ってる」

勇敢な男がそう言うと、

「うん…じゃあ、みんなで行こう」

無口な男が答えます。

「ユンも、一緒に行ってもいいの?」

「当たり前じゃない。わたし達は仲間で、大事な友達で…これからは家族なんだから」

正直な娘はとびきりの笑顔でユンを抱きしめました。


それから4人と一匹は、色んな国を旅して歩き、ずっと仲良く暮らしましたとさ。


おしまい


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