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□ミルクティシーツ
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あなたの白い吐息はきっと砂糖菓子みたいに甘かったし、細くて長い手は私が握る理由に出来るくらいは冷たかったし、そうやって寒がりなあなたとずっとくっついていられたし、なによりあなたが生まれた季節だから、私は冬が好きだった。


今日も私はあなたに寄り添う。にこにこしながらあなたを見つめる。
綺麗だ。可愛いし、かっこいいし、頭がいい。名前だって好き。ちょっと変わった性格だって好きだし、「チキシーン」っていうくしゃみの仕方だって好きだ。弟さんや妹さんだって可愛いし、やたら生命線の枝分かれした手のひらも、爪の形とか、少し高めの声だって、意外とがっちりしてる肩とかこの人の全てが心地良い。
世界一で一番大好きだ。
そりゃ知り合ったのは3ヶ月前で付き合ってまだ1ヶ月だけどこれだけはハッキリ言える。
私、この人を愛してる。


そんな旨を伝える度彼は微妙にはにかむ。
結婚しようね、ずっと一緒にいようね、愛してるよ。
そんな言葉を毎日飽きもせず私は彼に伝えた。

ある日の夜、雪が降った。彼が二十歳になる一週間前の事だった。
私は嬉しくて、彼に電話をかけた。

ねぇ見てる?雪だよ、ねえ

ごめん、別れよ

え?

ごめん。同じように愛せない。ごめんね

何言ってるの?私は「愛してる」よりもっと好きだよ

それが少し…重い









あーあ
やだよバカ。
愛してるよ。
永遠って遠いなぁ。



冬は今も私を通り抜けどこへ行ってしまうのか


答えはきっとあなただけよ。





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