テキスト

□窓に映るは銀色の雲
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拝啓、上坂様。

お元気ですか?
今さらあなたに何を伝えればいいのか分かりません。ですが、何かを伝えなければいけない衝動に駆られ、こうしてペンを持ち机に向かっている所存であります。
あの頃の私は浅はかでした。
馬鹿な事をしたと今でも悔やむ日々でございます。
…やっぱり、私には堅苦しい文章は書けません。だからいつもの話言葉になりますが、どうか辛抱なさって下さい。

ごめんなさい。
本当に何て言えばわからないし、書けることだって無いと思う。相変わらず私はバカだし、不器用だから。
けどあの時あなたを傷付けた事ははっきり解ります。
後悔しています。
あの頃の私は子供で(今もまだ子供ですが)先の事を全然解ってなかった。ただ、ずっと幸せは続くと漠然と思ってた。
傷付けましたね。ただ私も傷付いたんです。
今さらお互いの傷を舐め合うような事はしたいとは思いません。
でも、もしこの私の想いを汲み取ってくださるなら、一度で良いから会いに来て下さい。
一度だけで良いのです。
もしあなたが私と同じ気持でいるなら…
それならば今すぐ会いに来て下さい。
私はいつまでもここで待っています。

追伸:今年もあの梅が花を咲かせました。春はもう目の前です。


END


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