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□僕発君行き
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それはかれこれ15分前のこと

受話器越しに聴こえる君は、

震えていただろうか?

けれども僕は適当な言葉を持ち合わせてはいなくて

ただ抱きしめることも出来なくて

君の傍に居無くて

ただ機械に向けて「大丈夫だよ」と、

自分が愚かで

言ってしまえたらどんなに楽だろう

「僕が居るから大丈夫だよ」と

そうして何が出来るだろう

僕は一言

「待っていて」

ポケットにはチューインガムと鍵とハンカチ

それでも君の手を迎えるスペースはあるよ

そして走る

間違ったっていい

「僕が居るから大丈夫だよ」と、

「好きです」

の言葉を持って

君の元へと今

僕は走っている




君がいなければ僕はきっと

「本当」の意味なんて知らなかった



END

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