テキスト

□相愛ジョナゴールド女史
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「幸せの音って、きっと林檎かじった時の音なんだって思うんだぁ」

4時間目の体育は地獄。
お腹空かせて持久走、そんな私は園芸部。
隣のこの子は陸上部。

「………」
「でね、あたし今度はアップルパイに挑戦してみようって」
「…沙紀」
「やっぱりちょっと焦げてるくらいのほうが香ばしくていいよねっ、手作り感みたいなねっ」
「……沙紀」
「でもやっぱ何回も練習しないとー」
「……あ、あのさ、アンタの彼氏が……林檎好きなのはさ、わかったから…」
「えっ!?あ、あたし竜くんが林檎好きなんて一言も…もう、やだなぁ」
「……ハァ、ハァ…」


汗で張り付いた体操服が気持悪い。もういっそのこと意識を手放してしまおうか。体操の成績なんて知ったこっちゃない。そういや今は4時間目。朝はグレープフルーツを少し食べただけ。昨日から月のアレが来たんだよね、やだやだ。そういや昨日…今日は何時間寝たっけ。っていうか、寝たっけ。

暗闇があたしに襲いかかる。

あ、もう、だめ。

「え、マキ?まきー!!!」
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