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□相愛ジョナゴールド女史
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「もー、心配かけないでよねっ!夜遅くまで本なんか読んでるから貧血になるんだよ」

……沙紀。

最近になって、沙紀と一緒に居る機会は少なくなった。クラスは違うし、部活も違う。体育の時間に一緒になるぐらいで、今日だって二人で帰るなんて久しぶりだ。
たまに家で遊んでも、沙紀はあたしの知らない人の話をする。
「ねーマキ、家寄ってって」
「え、でも」
今日は自分ちで休んだほうが、と言いかけると腕を引っ張られて半ば無理矢理連れて行かれる。
誘拐だ、拉致だ。
女の子らしいこの子のどこにこんな力があるんだろうかとふと思った。

「マキッ」
ベッドに座ってただ部屋の時計を眺めていると急に視界が真っ暗になる。
あたしは沙紀の腕の中にいた。
「…え?」
「マキ、誕生日おめでとう」
「え?」
状況が理解できない。沙紀に抱きしめられて、あたしは今日誕生日で?
「え、今日、何日?」
「20日」
「え?!」
「マキ…今日何日だと思ってたの?」
この前の連休の前は確か14日だった。20日なんてまだ先だと…
「今日、あたし誕生日…」
沙紀はあたしを解放するとパタパタと足音をたてながら部屋を出て行ってしまう。
まさか自分の誕生日を忘れていたなんて、何て間抜けなんだろう。しばらく放心していると沙紀が部屋に戻って来た。
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