テキスト
□フエンデ
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光の粒がさらさらと流れるあの空間に溶けていってしまいたい。
そこはとても静かで、とても静かで。
ただ私の鼓動だけが優しく心地よく揺れている。
胸の奥に声が聞こえる。
私が愛したのは誰だろうか。
それだけに耳を澄している。
ひとつだけ、嘘をついても良いなら「さよなら」と言おう。
どうかその時の私は笑っていればいい。
そして本当に溶けてしまったなら、少しだけ許されてもいいだろうか。
瞼を閉じれば光は消える。
息を浅く、
さあ嘘をつこう。
「 」
END
声は聞こえない。