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□聖夜の贈り物
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パパとママが出逢ったのはちょうど12年前のクリスマスの日の夜。
その日はすごく雪が降っていて、ママは白いコートに身を包んで花屋さんの軒下で雪が止むのを待っていたんだ。
そして、バスの中からそれを見ていたパパが一目惚れ。
自分の家がある駅は二つも先なのに、思わずそこで降りちゃった。
パパは、さりげなくママの隣に立つと、本当にさりげなく、ママの顔を横目で見たんだ。
白い肌が、赤く染まったママのほっぺたは、まるでバラの花が咲いていたようだったんだって。
雪の妖精みたいだって。大袈裟だなあ。
しばらくそうしていると、何とママのほうからパパに話しかけてきたんだ、「やみそうにありませんね」って。
するとパパも、「ええ、せっかくのクリスマスなのに」って答えた。あくまで自然を装ってね。
ママは、「ああ、世間ではクリスマスなのね。今日は私の誕生日なのに」って言ったんだ。
それを聞いたパパは、その場で真っ赤な大きいバラの花束を買ってママにプレゼントしたんだって。
「もしよかったらあなたの生まれた日を私に祝わせてくれませんか」って、気障な台詞なんか言っちゃってさ。
ママの答えはどうだったと思う?
なんとママもパパに一目惚れだったんだ!
そしてその3年後に僕が生まれたってわけ。
まるで奇跡みたいな恋の話だね。
パパは、ママとの出逢いは天からの贈り物だなんて言ってるし、ママはサンタさんにクリスマスプレゼントと誕生日プレゼント、いっぺんに貰っちゃったみたいなんて言ってるし、
クリスマスになると毎回その話を聞かされる僕の身にもなって欲しいよ。
そうそう、僕にはこの前妹が生まれたんだ。名前はローズ。名前の由来は……言わなくてもわかるよね。

あ、ママが呼んでるみたい。ケーキの飾り付けを手伝わなきゃ!
じゃあね、君にも素敵な出逢いがありますように。

メリークリスマス!!




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