テキスト
□革新的確信、その核心
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「私ね、チョコレート以外の物を食べたら死ぬのよ」
「嘘ですね」
「嘘じゃないわよ」
見園は珍しく物憂げな顔をするとそんな事を言った。
「私の血、きっと茶色いわ」
「今日の朝食は?」
「チョコレート」
「今日の昼食は?」
「チョコレート」
「今日の夕食は?」
「チキンのチョコレートソース掛けかしらね…」
「鶏肉はチョコじゃないですよ」
信は持っていたバイオリンをしまうと鞄の中からレモンを取り出す。
「なぜチョコレートが好きなんですか」
「甘いからよ」
「そうですか」
彼は彼の好物である黄色い果実を頬張る。
見園はそれを見て苦笑した。
信は気にする事無く黄色を咀嚼する。
「甘く無いものなんて食べ物じゃないわ」
そう言った彼女を見ると彼は彼女の口目がけて食べかけのレモンを突っ込んだ。
「……」
「……」
「どうですか、食べ物以外の物を口にした気分は」
無表情のまま彼は彼女に問うと、彼女は少し考えてからこう言った。
「最低。」
「それは良かった。」
END
2005年8月に作った信楽シリーズ2作目。高校生っていいなぁ。