short-微甘
□素直になる勇気
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「俺、本当に深津さんの事好きだからね!」
「……はいはい」
そんな簡単に『好き』って言わないで。
葉山くんの『好き』は、私の『好き』とは程遠い。
何て言えば一番良いのかな……?
『お気に入り』って感じ。
LIKEであって、LOVEではない。
そんな『好き』に、私がどんな思いで返事をしているかなんて考えた事無いでしょ?
私の『好き』は貴方の『好き』を聞く度に辛くなるんだよ。
胸が締め付けられるんだよ。
「ねぇー!聞いてる?」
「聞いてます、聞いてます。それに返事もしたでしょ?」
「そーなんだけどー。……じゃあ、何でこっち向いてくんないの?」
「授業中ですから、黒板の方を向くのは当たり前だと思いますけど?葉山くんは板書しなくても良いの?」
「普通さ、隣りに好きな子が座ってたら、気になって勉強になんなくない?」
「……へ?」
「兎も角、俺はそうな訳!」
素直に伝えられはず無い……
ずっとずっとそう思ってた。
けど、もしかしたら、私の『好き』と君の『好き』は同じなのかもしれない。
言うだけ言って突っ伏した葉山くんの耳が真っ赤に染まっていくのを見て、少しだけ勇気が出てきた。
自分に素直になる勇気。