short-微甘
□もしもの話
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何故かは知らないけど、クラスの中で流行っている『もしも話』
本当ならこんなことに全く興味は無いんだけど、これのお陰で河野さんが俺に話しかけてくる回数が格段に増えた。
そうすると、そんなに無下にも出来ない訳で……。
むしろ、感謝しなくちゃいけないのかもしれないな。
「ねぇ!岡崎くん!もしも、人類が滅んだらどうする?」
「滅ばないようにする」
「もしも、岡崎くんが蜂だったらどうする?」
「健気に働く」
「もしも、期末試験で赤点取ったらどうする?」
「取らないように勉強する」
「岡崎くんってば、相変わらず冷めてるねー」
「思ってる事を、そのまま口にしただけだけど?」
「その返答が冷めてるんだってば。今度こそは、岡崎くんがびっくりするような問題を考えなくは……」
「別に、無理にそこまでしなくて良いんじゃない?」
「嫌!『もしも話』が無いと、岡崎くんとなかなか話せないから、駄目!」
「……じゃあさ、もしも俺と付き合って下さい、って言ったらどうする?」
目をまん丸くして俺を見つめる河野さん。
その後すぐに彼女の顔は真っ赤になって、うつむきながら……
「……『ほんと話』だったら前向きに検討します」
って。
つられて俺の顔も赤くなった気がした。