short-微甘

□小さな紙の診断表
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「坂井って、どんな奴がタイプな訳?」


 急にこんなことを言われて、持っていたミルクティーの缶を危うく落としそうになる。

 心の準備も何にも出来ていなかったんだから、『アナタです』なんてこと言える訳無いじゃない。


「ふ、藤田くんには関係無いでしょ」

「教えてくれたって良いだろ?」

「絶対に嫌」


「じゃあ、二択で好きな方を答えてよ。さて、問題!部活は運動部?文化部?」


「はぁ?私が答えるの?」

「それくらい良いだろ!減るもんじゃあるまいし」



「……運動部」


「サッカー部?野球部?」

「断然、野球部」

「テニス部、っと」


「野球部だ、って言ってるでしょ。それに、そもそも選択肢の中に『テニス部』なんて無いじゃない!?」


「良いから、良いから。で、年上?年下?」

「どちらかと言うと、年上。かな?」

「同学年、っと。」


「私の希望は、丸無視なのね……。で、さっきから、いそいそ、何書いてんの?」

「ん?何って、診断表」

「へ?」


「てな訳で、診断により、坂井のタイプはこの人でした」


 そう言って渡された私の診断結果は、小さな紙に大きな文字で、

『藤田智也』

 って。
 嬉しいのは山々なんだけど、一体、返事はどうやってすれば良いのでしょう?

 何食わぬ顔でこんなことをして去っていった藤田くんの背中を見つめながら、返事の方法を考える。
 どうせだから、面白い方法で返事したいじゃない?

 嬉しい小さな診断表を手に、そんなことを考えた。
 



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