MEMORY
□A doubt game
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「カンパ〜イ!」
今回の仕事に参加した連中が、片手に缶ビールを高々と挙げて口々に歓声をあげる。
「お疲れ〜!」
俺も声を張り上げて缶ビールを一気飲みする。
冷たい液体が食道を落ちて行き、後から口の中に苦味が広がって心地良かった。
漸く張り詰めてた気が緩み肩の力が抜けた気がする。
次の仕事に取り掛かるまでの束の間の事だけどさ。
それでも自分が下準備を組んだ仕事の成功は嬉しい。
ましてや今回は事前調査に色々手間どっただけに頬が緩む。
「ご機嫌ね、シャル。」
パクが2本目の缶ビールを差し出してくれた。
小さく礼を言い、飲みかけの缶を空にしてから手をつけた。
「分かる?」
そんなに顔に出てたかな、と照れ笑いを浮かべながら問い返す。
「えぇ。いつもよりオーラが柔らかいもの。」
パクにそう言われて思わず俺は頭を掻いた。
「参ったなぁ。俺そんなに分かりやすい?だからいつもダウトで負けんのかなぁ。」
そう言って缶ビールを手で持て遊ぶ。
チラリと目をやれば、部屋の中央では強化系組が缶ビールの早飲み競争をしているらしく、既に信じられない空き缶が床を埋め尽している。
「あんな飲み方するんならビールじゃなくても水でもいいのにね。」
俺の目線に気付いたパクが、悪戯っぽく言って笑いを漏らす。
「全くだ。ザルって言葉がピッタリだね。」
俺も悪乗りで同意して肩をすくめた。
「…あんな単純強化系なのに、ダウトになるとみんなで俺を負かすんだもんなぁ。」
冷たいうちに、とせっかくのビールに口つけたらポロリと愚痴が溢れた。
あれ?俺まだ酔うには早いんだけどな。
案の定、パクには「フフフ」と笑われた。
「…別に良いじゃない。貴方は『蜘蛛』というダウトゲームをプロデュースしてるんだから。」
…俺やっぱ酔ってる?
パクが言ってる意味が理解出来ずに、疑問符をたくさん浮かべて彼女の顔を覗き込んだ。
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