織り為す時の流れの中で…

□第三話
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男を追ってたどり着いたのは、一流と呼ばれる、最高級ホテルの最上階スイートルーム。

あまりの豪華な部屋に彼女は軽い戸惑いを覚えた様だった。

彼女の様子を察したらしい、黒スーツの男が椅子をひき彼女を座らせる。

「コーヒー煎れるねぇ〜。あ、俺の名前はシャルナーク。今、アイシャと遊んでるのはフィンクス。顔は恐いけど心配しなくていいからね。」

「ぅっせっ!顔が恐いは余計だろ!」

そう言い返しながらもアイシャにお菓子をわざわざ開封して渡してくれている所を見ると、確かに根は優しいのかもしれない。

人は見た目で判断してはいけないと言う事だ。

そして黒スーツの男がようやく口を開いた。

「俺の名前はクロロ=ルシルフル。シャルやフィン…あいつらの頭というポジションにいる。」

「あ、たま…?」

「あぁ。聞いた事はないか?幻影旅団と言う盗賊集団を。俺はそこの団長をしている。」

メイシュが考えこむ事数秒。
そして頭の中で幻影旅団についての整理がついたらしく驚きに目を見開いた。

それはそうだ。
幻影旅団といえば、冷酷無比と悪評高く、殺戮・残虐の代名詞と唱われるような犯罪組織として有名なのである。

メイシュの驚く様子で、自分達の事を理解したのをクロロも察したらしい。

「意外だな。もっと驚くと思ったのに。」

クロロが面白そうに呟く。

「十分に驚いた。まさか自分がそんな有名人達に会うと思ってなかったし。…噂よりも優しいみたいだから。」

アイシャがなついた様子のフィンクスを見ながら答えた。

「けど、追跡者を持ってるのはお互い様でしょ?」

度胸の座った娘らしい。

メイシュの返事にクロロは好感を持ったらしく、そうだな、と笑いながら呟き会話を進めた。

「人質をとるような真似をして申し訳なかった。今回無理に同行を願ったのは、どうしても聞きたい事があったからだ。」

クロロは、静かにそう話始めた。

耳に心地好いテノールの声だった。

「いや…。きちんと礼や謝罪をしなくてはならないのはこちらだし、確かにあの場ではそんな話が出来る状況じゃなかった。まずは妹を助けてくれた事に深く礼を言いたい。ありがとう。本当に感謝している。」

シャルナークはそれにニコッと笑みで答え、フィンクスはうっすら頬を赤らめ視線を反らした。

「私の名前はメイシュ=カンナギ。妹はアイシャ=カンナギ。旅の途中でこの国には昨日入国したばかり。慣れない土地で追われ、妹とはぐれてしまい、頭に血が上っていた。勘違いとは言え剣を向けてしまい、本当に申し訳なかった。」

「もういいよ。それよりメイシュ強いんだねぇ。あの時のオーラ、本当に凄かったよ。」

メイシュの前に煎れたてのコーヒーカップを置きながらシャルナークが言った。

「あぁ、あのオーラを感知して、お前達を見つけたんだ。シャルにはオンジンと呼んでもらわないとな。」

クロロはわざと片方の口角をあげて笑う。

ちぇっ!
と呟きながらもシャルはメイシュにコーヒーを勧め、メイシュも言葉に甘えてカップを口に運んだ。

横目でアイシャをみやると、フィンクスにジュースをグラスにそそいでもらっていた。
本当に面倒見が良い男のようだ。


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