織り為す時の流れの中で…
□第八話
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「落…ち、た?」
と、茫然と呟いたメイシュの足がガクガク震える。
ドゴォォン
同時に室内にもの凄い轟音が響き、振動と共に部屋の床と壁の一部がなくなっていた。
足の力が抜け、よろけたメイシュをシャルナークが支える。
「メイシュしっかりして!アイシャはフィンが追った!大丈夫だから!!」
メイシュが我に返ると自分の回りの侵入者達が皆床に倒れていた。
クロロの回りにも折り重なるように侵入者達が倒れている。
「追…った?」
「ああ。壁と床をぶち抜いて近道を作って追い掛けた。多分大丈夫だと思う。」
近くに倒れていた男から細いスティックを抜きながらシャルナークが返す。
「フェイ!目障りだ、残りは全部始末しろ」
苛立ちを隠そうともせずにクロロが言い放った。
フェイと呼ばれた少年は嬉しそうにニヤリと笑うと
「わかたね。何か聞き出す事は?」
「ない。必要な事はメイシュが知ってるだろう?」
鋭い眼差しを向けられ、自信無さげに頷くメイシュ。
「足りない事は俺が調べるよ」
隣に立つシャルナークのセリフを聞くと、フェイタンは刺すようなオーラのうねりを立ち上らせ、嬉々として刀を手に突っ込んで行った。
ショウの姿は最早なかった。
「ショウは…?」
「アイシャの転落と同時に姿を消した。抜け目のない奴だ。」
憎々しげにシャルナークが言う。
「室内にこれだけの念能力者をねじこみ、短時間襲撃をかける計画性といい頭が回る様だな。」
クロロが歩み寄る。
「後はもうフェイタン一人でいいの?」
「本人が喜んでるんだ。構わないだろう。」
そう言ったクロロから、禍々しいオーラが濁流の様に溢れ出し、メイシュは全身に鳥肌がたった。
と
真横からももの凄い圧迫感のオーラが押し寄せる。
シャルナークだ。
「参ったな…。こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ。俺が出し抜かれるなんて。」
残り僅かとなった敵を鋭い目で睨みながら言う。
「あぁ。天下の幻影旅団がこんなにもコケにされるなんてな。」
クロロとシャルナークを取り巻いていたのは怒りのオーラだった。
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