淡く短い夢
□CLAP NOVELA
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フィンクスが、広間で顔をしかめながら瓦礫に腰を掛けていた。不機嫌オーラが漂っている。
あぁあ、まただ…。
そう思った私は、簡易キッチンに行ってあるものを持ってから彼の元へ戻る。
「はい!」
私が彼の前に差し出したのは、白い湯気を立ち上らせるマグカップ。
「ブラック、濃い目にしといたよ。また二日酔いなんでしょ?」
からかうようにそう言いながら彼の隣に腰を下ろすと、私は自分用に持って来た甘いカフェオレに口をつける。
マグカップから口を離し、ホゥッと息をついた瞬間。
私の後頭部に力がかけられて…。
気が付けば目の前にフィンクスの顔。
「んっ…!」
唐突なキスにびっくりして声をあげると「甘い…。」と苦い顔され離された。
「口直しにコレ貰わぁ。」
と軽くマグカップを上げる彼を軽く睨み、口を尖らせた私。
すると。
二度目の接近彼の顔。耳元で囁く声に。
「嘘。感謝。お礼。」
顔を少し赤らめてロボットみたいに言う彼が、少し笑えた。
こんな事ならいくらでも。
その代わり、明日も明後日もずっと側にいさせてね。
080725