BM小説

□どうか逃げないで、この鳥籠の中から
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「ファルコンは??」


「部屋にいます……あの、J……」


「なに」


イライラする


「いえ……何でもありません」


爪をかんだまま振り返った僕におびえたように、ミハエルくんは何も言うことなく下がっていった
最近のミハエルくんはなんだかんだとファルコンに肩入れする。前はあんなに対抗意識を持っていたのに
同じ趣味を持ったもの同士話が合うのか知らないけれど、気がつくと二人で楽しそうに話している姿が目に付く


イライラする


ファルコンがいる部屋に向かいながら今日のことを思い返す


あいつにはやっぱりまだ会わせるべきではなかったんだ
もっと根底からあいつへの信頼をとりさって、僕だけを見るようになってから会わせるべきだった
Kの指示だったから仕方がなかったけれども、やっぱりまだ早かったんだ
ファルコンはまだどこかであいつのことを望んでる。あいつのことを信じている。


(だからいやだったのに)


今回のことでそれを感じ取れてしまったから
あの二人の絆を見せられたような気がしたから




だんっっ




なぐった拳よりも心が痛かった


こんな気持ち知らない


初めての感情


どうしたらいいのかわからない


けど
やっと手に入れたんだ


時間はかかるかもしれないけど、全部僕で埋めてあげる


絶対渡さないよ
君は‘僕’のものだ






どうか逃げないで、この鳥籠の中から
(J……)(どうしたの、ファ…藤丸??)(!!)


だから呼ぶよ
あいつが君を呼ぶように
望むならなんだって与えてあげる





だからどうかいなくならないで


 

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