BM小説

□贖罪
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腕の中で泣き続ける藤丸


負けず嫌いで、強がりで、本当につらいときしか涙を見せないこいつがこんなにも泣き続けるなんて


そのことだけで今までのことがどれだけ藤丸の負担になっていたのか思い知った


知らず知らずのうちに藤丸を抱きしめている腕に力がこもる


より近づいたあいつのぬくもりに、小刻みに震えている肩に


涙があふれそうになった




(俺はこのぬくもりさえも失ったかもしれなかったんだ)







あの時一緒に戦うと自分自身に誓ったはずなのに、藤丸に信じてもらえなかったことにショックを受けて自分のことしか考えずに、こいつを責めた


『俺のこと信じてなかったんだな……』


そう言ったときの藤丸の顔が忘れられない


優しいこいつが俺を疑うことにどれだけ傷ついていたかなんて見ないふりしていた


そして藤丸のそばを離れた


一番そばにいて支えてあげなくちゃいけないときだったのに


いつも頼られてばかりいるこいつが昔から頼ることができるのは俺か竜之介さんだけだった


その竜之介さんがいなかったあの時、あいつのそばを離れるなんてしちゃいけなかったのに


もっと早く藤丸の心の悲鳴に気づくべきだったんだ
一番一緒にいたのは自分だって、こいつのことを一番理解してるのは自分なんだって思っていたのならなおさら


今までのことに後悔しか浮かんでこない







東京を、日本を守ったこいつだけど、


これから先も大切なものを守るために走り続けるこいつだけど


じゃあ藤丸のことは誰が守るんだ??


俺はまだ高校生で、テロから守ってやることはできないかもしれない


何もできなくて、自分自身を責めるときが来るかもしれない


逃げ出したくなるほどつらい現実に向き合わなければいけない日が来るかもしれない


だけどただそばにいて、藤丸の心だけは守ってやるんだって、そう改めて誓った


俺は藤丸がそばにいてくれればなんだって乗り越えることができるから


おまえのいない世界に価値なんてないんだから







だからどうかもう泣かないで、


これからずっとそばにいるよ


この胸は昔も今も、そしてこれからもお前だけのものだから




「ありがとう……」




生きていてくれて、この腕の中にいてくれて

 

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