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□a missing year
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体だけが現実世界に残され起き上がらないシオンを案じていたジンの前に、
白い服の少女、「ネピリム」
が現れる。
アルス・ノヴァという場所に、シオンと少女がいるという。そこはヴェクターのS-Division内にあり、正攻法ではたどり着けない。
ジンはスキエンティアの協力を得て侵入に成功する。
グリモアの少女は
「グリモアが失った記憶を取り戻させてくれる」
と信じて断章を集めていた。
しかしグリモアが少女に断章を集めさせた目的は、それとは別の
「願い」だった。
愛娘の復活。
だがグリモアの少女はグリモアから与えられた記憶が、自分の記憶ではないことに、戸惑いを覚えそして叫ぶしか出来ない彼女から発生したのは
「歌声」だった。
グリモアの少女は幼い頃のシオンと会っていた。
少女はかつてU-TIC機関の研究施設において、実験体としてそこにいた。
シオンは少女の名を呼んだ。思い出したのだ。彼女を被験者として扱っていたのは紛れもなく自分の父であったということを。
「アルマデル!」
しかし彼女の意志では最早「歌声」を止められなかった。
あの辛い実験の中で、唯一自分にやさしい声を掛けてくれた存在。
それを守るためにアルマデルは、自らの消滅を望んだ。
そしてアルス・ノヴァは封印された。
誰も知らない墓標として。
この事件の後、シオンは自分の父の研究と、ヴェクターの正体を探るべく退職した。
【完】