*空の彼方*
□一章
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「…ぃさん。お兄さん!!大丈夫ですか!?」
「…ぅ゛…」
朝早く学園の外に出ると人が倒れていた。
私達が驚いて大声で呼びかけると,彼はのろのろと目を開けた。
「大丈夫ですか?」
「…なんだろ,肩がものすごく痛い…」
そりゃそうだろう。血が出ているもの。
そのお兄さんは制止を聞かず起き上がろうとして…もう一度倒れこんだ。
ほら言わんこっちゃ無い。
「きり丸,しんべヱ。私,新野先生呼んでくるからこの人が無茶しないよう見てて」
「わかった」
「急いでね,乱太郎」
私は全力疾走で保健室に向かった。
その後ろで,またあの人が気を失うのが分かった。急がなくちゃ。
ドタバタ…
バン!!
保健室の扉が大きな音を立てて開かれた。
「新野先生!!!!」
「うわっ!!どうしたんだい乱太郎」
息を切らせた乱太郎に驚く。
「伊作先輩,新野先生は…」
「出かけておられるよ。何かあった?」
「門の前で人が倒れているんです」
「じゃぁ僕が行こう。怪我をしているの?」
「はい。肩から血が。結構多いです」
「よし,分かった」
伊作は救急箱を持つと正門前へと走った。
「ふぅ…」
門の前に倒れていた男を回収し,一段落した伊作は椅子に座った。
先ほどまで,帰ってこられた新野先生が怪我人の治療をしておられたが,終わったのかカーテンのこちら側に出てこられていた。
「…何があったんだろうか。あんなところに一人で…」
分からないことはたくさんある。それは彼が目を覚まして話してくれるのを待つしかない。
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