*空の彼方*

□四章
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前回の"鈴城彩組み分け合戦"で結局い組になってしまった僕。



今日は、い組での初めての授業です。

え?手裏剣?


どうやって使うのさあんな刃物。危ないじゃないか。







「……お前にはそこから教えなきゃならねぇのか…」



潮江君が溜息をついた。







さぁ、自己紹介だよ!







午前の授業が始まる前、彩の自己紹介を行うらしい。



…記憶を無くした人間に何を語れと言うんだ。








「――ということで入ってきてくれ」


担任が前話を終え、彩を呼ぶ。


扉を開ける軋んだ音がして、本人が中に入って来た。




「簡単に自己紹介を」



「…はい」



彼の綺麗なアルトに、周りの奴らが息を呑んだ。



「僕の名前は鈴城彩。

歳は多分、君たちと同じ15です。

記憶を無くしているのですが、学園長先生の御厚意で編入を認めて頂けました。

学園長先生は、以前、僕が忍術の勉強をしていたのではないかとおっしゃられています。

しかし、記憶を無くしているため、一年生の知識以下だと思います。
早い話、何にも覚えていないのです。

それでもこの学園に入学させてもらったので、一生懸命頑張りたいと思います。

迷惑をかけることになるかもしれませんが、よろしくお願いします」




彩はここまで一気に言うと、ペコリとなんともかわいいお辞儀をした。


野郎どもの間からどよめきが起こった。



…男だらけのクラスだから、間違いを起こしてしまうものも一人や二人や三人や四人くらいいる。
俺は間違いを犯されたことも犯すつもりも毛頭ないが。

少し不安になった、その矢先。


「あぁそうでした。



何かちょっとした手違いで学園長の頭が刈られてるのは僕のせいだとかいう噂が流れてるんですが嘘ですからね。

誰ですかそんなこと言い始めたの。

今すぐ申し出たら半殺しぐらいで許してあげます」




と、そのニッコリ笑いながら指をポキポキ鳴らした。



前言撤回。誰が可愛いんだ。




…ちなみに仙蔵だったりする。

後ろを振り返ると、口端を吊り上げたアイツが目に入った。


やれやれ。



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