*空の彼方*
□四章
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彩と仙蔵がギャーギャーと舌戦を繰り広げあうのを見ていた。
まぁ緊張とかもしていないようだし、よかったんじゃないか。
と、そこへ先生から、潮江、と呼ばれた。
「はい」
「あの二人と同じ席についてくれ」
「え゛」
嫌すぎる。
彩はともかく、仙蔵の隣は…
「お前も争奪戦にも出たんだろう?別にいいじゃないか。鈴城とも仲が良さげだし」
どこらへんが?と思って彩の方を見てみると、奴は仙蔵に腕をとられて精一杯抵抗しながらこっちを見つめていた。
…仲が良いのではなくてあれは救いを求める目だ。
「…はぁ……分かりました」
彩が肩でほっと息をついたのが分かった。と、その瞬間。
「ぁぎゃぁぁあぁ!!!!」
バランスを崩した彩が仙蔵のほうにひっくり返った。
ガスッと胸に顔がぶつかる。
「立花くんー痛いんですけどー」
「ほー、お前ちゃんと筋肉は付いてるんだな」
「先生ここに変態親父がいますマッチ持ってるんで燃やしていいですか」
何で持ってるんだ。
「失敬な。親父とはそこにいるキモンジのことをいうんだ」
お前が一番失敬だ。
頑張れよ、と肩に手を置かれた。
何だか皆の憐みの目線を受けてるようで、無性に悲しくなった。
「て言うか立花くんだろ。学園長のこと広めたの」
「よく分かったな」
「お前も参加してたくせに何言ってんだゴルァ」
…仙蔵も学園長の頭刈ってたのかよ!!
酷い頭痛と、これからこの組で無事やってけるかどうかの不安が一気に襲いかかってきた。
…何で俺に。ここは当事者の彩に降りかかるべきものだろう…
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