*忍たま 短編 Novel*
□過ぎし日々の足跡
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どこまでも左右に伸びている長い塀の中から,かけ声や笑い声が聞こえてくる。
"忍術学園"と書かれたその板は自分たちが最後に見てから,やっぱり年月分だけ古くなってはいるけれど,何も変わっていなかった。
伊作は目を細めると少し笑い,木でできた門をゆっくりとくぐった。
「こちらにサインをお願いします」
スッと差し出された入門票にサインをし,顔を上げると年若く,知らない事務員だったので驚く。
「あれ?小松田さんは…」
「あ,小松田先輩ですか?僕はよく知らないんですが,事務員をやめて,今はお兄さんの仕事の方を手伝ってられるそうです」
「そうなんですか…」
僕ら六年生が卒業して五年が経つ。
少し寂しいな,と感じながら事務員に礼を言い,再び歩き出した。
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