*忍たま 短編 Novel*
□過ぎし日々の足跡
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「よ,伊作」
「わっ!?」
ボーっと歩いていたときにポン,と肩を叩かれ振り返ると,そこには同組だった留が。
「なんだ,留か…」
「お前も忍者の端くれだろ?気づけよ」
「分かってたもんよ」
僕が言うと,留は目を大げさに見開いた。
「へぇ,分かるようになったわけ」
「当たり前じゃん。これでも忍者の端くれです。気配消してても最近は分かるんだから」
そう言うと,留はハハハッと笑った。
変わっていない。その事をとても嬉しく思った。
頭の上を風が吹き抜け,梢を揺らし音を鳴らす。
「で,まだ気づかないのか」
「は?何が」
ハァ,と盛大な溜息をつき,留が手を振った。
するとそれを合図に木から人が降りてくる。
「え…なんでみんないるの!?」
「驚かそうと思って」
ニヤリ,と笑って文次郎が言う。
「ったく,まだまだガキだな。こんなことが楽しいとは」
首を振りながら言う仙蔵。
「でもなんだかんだ言って,結構仙蔵も楽しんでたじゃん。」
何故か小脇にバレーボールを抱え,珍しく反撃っぽいものをした小平太。
「………」
相も変わらず無言の長次。
「………」
僕も長次を真似て無言になってみた。
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