*忍たま 短編 Dream*

□海の音が聞こえた。
2ページ/7ページ


一年が経つ。15歳で時を止めた文次郎より、一つ年上になってしまった。




月日が流れるのは早い。




卒業を間近に控えた六年生が戦に出かけて行ったのを、昨日のことのように覚えている。



くのたまの私は、救護班の手伝いをしていた。そのとき――





「六年生の潮江文次郎先輩が火薬銃で撃たれた後行方不明だって!!」




そんな知らせと共に、一年は組の猪名寺乱太郎が飛び込んできた。

救護班のテントの中に衝撃が走り、どよめきや小さな悲鳴が上がった。知らせにきた乱太郎の顔も真っ青だった。



けれど、私の脳はその事実を受け入れることを拒否し、真っ白になった。




文次郎が撃たれて行方不明?



ナニヲイッテルンダイコノコハ。






そして周りの音が戻ってきたとき、遠くで叫び声が聞こえた。

どうやら敵が来たらしい。

怪我人がまた続々と運び込まれ我に帰った。



私は失神することも涙を流すことも出来ず、ただ黙々と手を動かした。





それが一年前の今日だ。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ