*忍たま 短編 Dream*

□約束
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やはりかなり深かった傷を洗った後、消毒をされる。


文次郎と、くのたまの保健委員の鴉深以外には誰もいなかった。



先ほどまでの怒りはどこへ行ったのか、黙りこんでしまった鴉深。
沈黙に耐えきれず、他の保健委員はどこへ行ったのかと聞くと、落とし紙の補充に、というそっけない返事が返ってきた。



……腕よりも沈黙が痛い。













包帯を巻く段になって、鴉深はようやく口を開いた。




「こないだ、もう怪我しないって…約束したのに…」



夜の鍛練中に作ったあまりにひどい傷を負って、毎夜のように保健室に来ていた文次郎を見かねて、鴉深が約束を取り決めたのだ。



「…約束だか、ら…じゃなくても、いいから…ほんとに自分の、体…大切にしてほしいの…」



鴉深の声が揺れている。
泣かせてしまうのは嫌だ。


今度は目を見て謝った。


「…すまん」


「……ッ…」



最後にはとうとう泣き出してしまった鴉深の頭に手を置く。


彼女を好きという感情が自分の中にあるのは分かっている。


けれども忍者の色欲は禁止だ。


諦めようと思った。
怪我をしなければ保健室に行かない。恋人でも何でもない彼女とは、必然的に会わない。
出来るだけ鴉深から遠ざかろうとした。






結局、諦めきれず、授業中たまたま通りかかった彼女に目がいって、この結果だ。


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