永い話

□拍手連載完結品
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何故見てしまったのか、

何故魅入ってしまったのか、


何故出会ってしまったのか、







暗い闇夜に似つかわしくない銀色が視界に映った。



気付かなければ良かった。

気にしなければ良かった。


人通りの少ない道の更に人気の無い路地裏。
何気なく見えた銀色が気になって視線をそちらに向けた。


「………ひっ、」


目に映ったのは派手な赤い服の女と銀髪の男が抱き合った姿。
女の服が乱れているのを見て眉を顰め帰路を急ごう視線を戻そうとした。

出来なかった。


何故服が乱れて下着が見えているのに首筋が赤いのか…
よく見れば着ている服の裾には淡いクリーム色が見える。


それに気付いた瞬間背筋がスー、と冷えて引きつった声が漏れた。

その刹那、銀髪がピクリと揺れ此方を向いた。


「っ、」


男と目が合った瞬間堰を切ったようにガタガタと体が震える。

そんな私を見て男の血に染まった唇がニィと弧を描いた。


「またの…」


そう囁かれたのは耳元でさっきまで離れていた距離が一瞬で無くなっていた。
ポン、と肩を叩かれたと同時に震えていた足がガクリと落ち道路にへたり込んでいた。



−続−


(…ま、た……?)
(あの女不味かったナリ。)



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