Novel
□Trick?
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ドガッ!
「はーい衛!Trick or Treat!」
けたたましくドアが開かれたかと思うと、黒いトンガリ帽子を被った遥が仁王立ちしていた。
「全く…どうして静かに入って来れないのですか…。」
遥を見る事もなく溜息を吐き、衝撃で崩れた書類を纏める。
「ちょっとちょっと!この姿が判らないの?!」
ズンズンとデスクの前まで駆け寄って来て、帽子に手をかけポーズを決める。
…………………………
……………………………
さて、仕事しますか。
私は見なかった事にして、書類をめくる。
「ハロウィンよ?!…疎いのは判ってたけど、まさかハロウィン知らないの?!」
デスクに手を付き身を乗り出して、心底「信じられない」と言う顔をしている。
「ハロウィンは知っていますよ。ケルトに於ける一年の最後の日にあたり、死者の霊が訪ねてくる…」
「え?そうなの?!何かお盆みたいね…。」
被り気味に遥が驚く。
大方、お菓子が貰える日ぐらいの認識なのでしょうね…。
「ほら、それよりもTrick or Treat!お菓子ちょうだいよ!」
ああ…やっぱり…。