キリリク
□君の為に出来る事
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「久しぶりだね?ラル・ミルチ。」
「お前は…!?」
ラルの前に突然現れた一人の男。
知り合いの様だが、二人の間に流れる空気は穏やかではない。
「…何の用だ……?」
「アルコバレーノ達に用があってね。」
「……なら、何故オレの所へ来た?」
「あの連中が人の言う事を素直に聞いたりしないのは君だって知ってるだろ?魚を釣るのには餌が必要なんだよ。」
人の良い笑みを浮かべてはいるが、ラルを威圧する殺気が全身から溢れ出ている。
「それに、君は自分の事を『なりそこない』だなんて言ってるけど、俺からしたら君も、あの連中と同じ『呪われた赤ん坊』だ。何も変わらない。…君にも来て貰う必要がある。」
「貴様……」
ラルは怒りを顕にするが、身体は動かない。
それだけ、目の前の男の力は圧倒的なのだ。
「女の子に手荒な事はしたくないんだ。……一緒に来てくれるよね?」
ラルは悔しそうに奥歯をギリっと噛み締めた。
『君の為に出来る事』
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