キリリク
□姫様の憂鬱
1ページ/8ページ
世界の何処かに在ると言われる『アルコバレーノ王国』
この国には、ラル・ミルチと言う名の姫が居る。
白い肌に映える艶やかな黒髪、ルビーの様な緋色をした大きな瞳が印象的な、大変美しい彼女は
「…良し、此処は見張りの兵が少ないな……」
只今、逃走中です。
「後は、この塀を乗り越えれば外に出れるな……」
城を取り囲む高い城壁。ラルは近くにある大木を利用し、一国の姫君とは思えない身のこなしで、軽々と上まで登って行くが、
「お遊びの時間は終わりですよ?姫様。」
「……リボーン…」
彼女の行動を予想し、先回りしていた教育係のリボーンに、あっさりと捕まってしまった。
「ったく、手間掛けさせるんじゃねーよ、じゃじゃ馬姫が。さっさと部屋に戻れ!」
「は、離せぇ!!」
リボーンはラルを肩に担ぎ上げると、塀を飛び降り城内へと戻って行く。
『姫様の憂鬱』
・