ヴァリアーパロ
□姫
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リング争奪戦から約半年が経ち
僕らの謹慎は漸く解けた。
それと同時に、新しいメンバーが加わった。
ゴーラ・モスカの代わりに入って来たのは
黒髪紅眼の小柄な美少女だった。
『姫』
「姫!メシ食いに行こうぜ?」
「…ベル……その『姫』て呼び方は止せと言ってるだろ!?」
「ししし。だって俺、王子だし。」
得意の笑みを浮かべるベルに、『姫』と呼ばれた人物…
ラルは、呆れた様に溜め息を吐く。
でも実際、僕も彼女は『姫』と呼ばれるのに相応しい女性だと思う。
容姿の美しさは勿論だが
僕らは、自分の命に代えてでも彼女を守る事を誓ったんだ……
「やっぱラルは、僕らの『姫』だよ。」
「マーモンまで…」
ラルは、困り果てた表情を浮かべる。
「オレは、ヴァリアーの新入り……言わば、一番下っ端で、お前らより立場は下なんだぞ!?余計な気は遣うな!!」
「王子は、気ぃ遣ったりはしないぜ?俺が『姫』て呼びたいから、呼んでるだけ!」
「僕も別に、気は遣って無いよ。」
「しかしだな……」
ラルが、ヴァリアー内での自分の立場にこだわるのには、理由があった。
「ラル様!ボスがお待ちです。直ぐに食堂へ来て下さい。」
そこに現れたのは、KY変態雷オヤジだ。
「その『様』も、敬語も止めろと言ってるだろ!?」
「ん〜。でもやっぱ、姫は特別なのよねん!」
「だから!その特別扱いが嫌なんだ!!」
ラルは遂に、怒りを爆発させた。
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