01/31の日記

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Scene2 傷。
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ラルが去って行ってしまった方を、呆然と眺めているコロネロに


バイパーが、呆れた様に声を掛ける。




「バっカじゃないの?お前みたいに、無駄に図体がデカく、目付きが悪い男に、いきなり声を掛けられたら、誰だってビビるに決まってるだろ?」
「なっ!?俺のせい……かも、な…」




自分がデカく、目付きも悪い事を自覚しているコロネロは


バツが悪そうに、頭をクシャリと掻き乱す。





「それは違いますよ。比較的小柄で、中性的な顔立ちのバイパーが声を掛けても、結果は同じでしたよ。」





ラルと入れ違いで、中に入って来た白衣姿の男に


リボーン・コロネロ・バイパーの三人は、目を見開く。




「ヴェルデ!?」
「何で、君が此処に?」
「俺が呼んだんだよ。」




そんな三人に綱吉は説明し、ヴェルデへと歩み寄る。




「……ラルは、どう?」
「多少、興奮はしていますが……まぁ、大丈夫でしょう。」
「そう。」




綱吉は安堵の息を吐き、ヴェルデは、コロネロへと視線を向ける。




「………悪く思わないで下さいね?あの娘は決して、悪意を持って、君を引っ掻いた訳では無いんですよ。」
「わーってるよ!んな事は!!」




コロネロは、先程のラルの様子を思い出していた。




確かにあの時ラルは、恐怖で表情を歪ませていたが


その瞳は、謝罪の意で揺れていた。




きっと、コロネロに怪我を負わせてしまった事に動揺し


部屋を飛び出して行ってしまったのだろう。





「俺は全然、気にしてねーぜ、コラ!」




何時もと変わらない、コロネロの笑顔に


ヴェルデは珍しく、心から安心した様な微笑みを浮かべた。




「取り敢えず、手当てをしますので、手を出して…「いや、要らね。」




ヴェルデの申し出を、コロネロは断る。




「こんなの……アイツの、顔と腕の火傷に比べたら…怪我にもなりゃしねーよ……」




その言葉に、空気は一気に張り詰めてしまった。




そんな中、獄寺が重い口を開く。




「10代目……やはりアイツも『兵器』として、利用されていたんですか…?」




綱吉は小さく首を振る。




「……あの娘は、俺が保護するまで、一歩も外に出た事は無いよ…」




それはラルが、より苛酷な運命を背負わされていた事を、物語っていた。





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