05/08の日記

20:26
Scene6 馬鹿じゃないの?
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コロネロと別れた後、ラルは

その足で、綱吉の部屋へと向かった。






「…………そう。頑張ったね。」





少し興奮気味に、先程の出来事を話すラルに

綱吉は、 そっと耳を傾ける。





「……コロ、ネロな………怒ってない、て…笑って…くれて……」
「うん。」





ラルは手元のクッションを、ぎゅっと抱き締める。





「…また、明日……だって…」
「そう。良かったね。」





何処か照れた様な……けれど、嬉しそうな表情を見せるラルに


綱吉は穏やか笑みを浮かべながら、その頭を優しく撫でた。








*********








それから一週間が経った。







ラルは相変わらず、綱吉とヴェルデ以外の男と距離を置き

その二人……もしくは、女性陣の背中に隠れてしまうのだが





「ちゃおっす。ラル。」
「おはよう、ラル。」
「おっす!」





挨拶をすると、ラルは顔を覗かせ





「……おはよ…」





と、小さくだが、返事を返す様になった。



距離は少しずつだが、確実に縮まってきているのだ。




「ラル〜!良いモン持って来たぞ、コラ!!」
「……良い物…?」





人懐っこい笑みを見せながら、手を大きく振るコロネロに


ずっとヴェルデの後ろに隠れて居たラルは

身体を一歩前に出し、興味を示す。





「じゃ〜ん!!」





と、コロネロが得意気に取り出したのは

市販されている、ねこじゃらしの玩具だ。





「……馬鹿か、お前?ラルがそんなモンに興味を持つ訳ねーだ…ろ……?」





リボーンは、呆れた様に溜め息を吐くが



ゆらゆらと揺れる、ねこじゃらしに

ラルの頭の上のネコ耳は、ピクピクと反応している。





「……興味、有るみたいだね。」
「まぁ、ラルも半分は猫だからね。」
「やはり、本能的に反応してしまうみたいですね。」





そんなラルの様子を、綱吉達は微笑ましく見守る。





「ほれ、ほれ。」





コロネロは、ねこじゃらしでラルの気を引き付けるが





「うりゃぁぁ〜!!」





何を思ったのかコロネロは、そのねこじゃらしを思い切り放り投げた。





「にゃっ!!」





ラルは、そのねこじゃらしを追い掛けて行く。







暫くの間の後






「…………アレ?」





コロネロは、不思議そうに首を傾げる。





「戻って来ねー……」
「馬っ鹿じゃないの?」





そんなコロネロにバイパーは、可哀相な生き物を見る様な視線を送る。





「それは犬だろ?猫が戻って来る訳無いじゃん。」
「あっ……」





ラルは暫く、ねこじゃらしを見つめて居たが


動かないソレには、興味無いと言いた気に

部屋を出て行ってしまった。





「………猫、か……」










*******








翌日





「ラル。良い物を持って来たぞ。」
「……良い物…?」





綱吉の後ろに隠れてるラルに、リボーンが差し出したのは





「チュー」





本物のネズミだった。





ラルは一瞬、固まった後





「に゛ゃぁぁぁ〜!!」





一目散に、走って逃げて行ってしまった。





「……何故だ?」
「う〜ん……確かに、ラルは半分は猫だけど…」
「もう半分は人間の女の子ですからね……本物のネズミは、どうかと……」
「馬っっっっ鹿じゃないの!?」





バイパーは、長い溜め息を吐き





「実は、コロネロ以上の馬鹿だろ?お前。」





リボーンにとって、人生最大の屈辱的な言葉を浴びせた。






ラルがリボーンに懐くのに

他の人達の、倍以上の時間が掛かったと言う。






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