07/26の日記

01:20
Scene7 空の色
---------------





ラルがボンゴレアジトに来てから、二週間が経った。



アジトでの生活にも、大分慣れたラルは


綱吉やヴェルデの後ろに隠れる事は無くなり



他の人間ともコミュニケーションを取る様になった。





「……なぁ?コロネロの瞳の色って、空の色なんだろ?」
「んあ?」





自分の瞳を、ジっと見つめながら問い掛けてくるラルに


コロネロは少し、困った表情になる。





「んー……そんな日も有るし、違う時も有るからな、コラ…」
「どっちなんだよ?」
「色はコロコロ変わるんだぜ、コラ。」
「え?コロネロの瞳の色は変わるのか?」
「違う!俺の瞳じゃなく、空の色な?」
「ふーん…?」





ラルは今いち、腑に落ちない表情で


更に、コロネロの瞳を覗き込む。





「……てかさ、ラル?そろそろ降りてくんねーか、コラ?」
「だって、こうしねーと良く見えねーし。」
「いや、でも……すっげーヤベーからな?この体勢は…」
「何がだ?」





ラルは今、ソファーに腰掛けているコロネロの上に跨がり


両手でコロネロの顔を包み込み、その瞳を観察しているのだ。





「随分と仲良しさんだね?二人共。」
「……げっ。」
「綱吉!」





ラルはコロネロの上から飛び降りると


嬉しそうに、綱吉の元へ駆け寄る。





「仕事は、もう終わったのか?」
「うん。……だけど、ちょっとコロネロに、大事なお話が出来たみたい。」
「あー……ハイハイ。」





にっこり微笑む綱吉に


コロネロは、面倒臭そうに立ち上がる。





「え?ちょっと……待ってよ!?」





それに反応したのは


部屋の隅で、静かに読書をしていたバイパーた。





「じゃあ、ラル?此処で、大人しく待っててね?」
「分かった。」
「…ったく……お前は、年頃の娘を持つ父親か、コラ?」
「せめて、妹想いの優しいお兄ちゃん。て言って欲しいな。」
「どっちにしろ厄介な生き物じゃねーか、コラ。」





だが、そんなバイパーの訴えは届かず



綱吉とコロネロは、二人で部屋を出て行ってしまい


バイパーとラルだけが、部屋に取り残された。





「えっと…どうしよう…」





ラルが他人と、コミュニケーションを図る様になったとは言え


それはコロネロを始め、山本や了平など


比較的、気さくで人好きのする性格をしている人間に対してで有り



自ら積極的に、他人と関わるタイプでは無いバイパーとは


二人きりでは、話した事は無いのだ。




だからバイパーも、この状況をどうしたら良いのか分からず


頭の中では、軽くパニック状態になっている。




けれどそれは、バイパーが本当は「もっとラルと仲良くなりたい」と願っているからだ。




そんなバイパーの想いが伝わったのか


ラルは、ゆっくりとバイパーに近付いた。











********









「……空の色、か…」
「おう。」
「あー…悪い。ラルにそう教えたのは、俺だな。」
「本当、お前は単純だな?この野球馬鹿が。」
「しかし。どうせ見せてやるのなら、やはり極限に晴れた青空が良いと、俺は思うぞ!」
「だが、例えが悪い。他にもっと良い色が有ったハズだぞ。」
「あ゛ぁん?殺んのか、コラ?」





綱吉とコロネロが、トレーニングルームを半壊させている所に

リボーンと守護者達が駆け付け


漸く、本題に入ったのだ。





「……やっぱ、外に出たいんだろうな、コラ…」
「興味は有るとは思うけど、出たいかどうかは別の話だよ。」
「どう言う事だ?」
「分からないんだって。ラルは『外』が、どんな所なのか分からないから……出たいかどうかも、分からないらしいんだ…」
「……そう、だよな…」





すっかり表情が落ちてしまった一同に


綱吉は、明るく笑って見せる。





「ほら。皆でそんな表情をしていたら、ラルが心配するだろ?…ラルには俺達で少しずつ『外』を教えてあげよ?」





綱吉はラルが待つ、部屋の扉を開く。





「ラル!お待た、せ……」





すると、一同の瞳には


無数の桜吹雪が、飛び込んで来る。





「綱吉!これが『桜』なんだろ?」
「あ…うん……そうだけど…」





興奮した様子で、瞳をキラキラと輝かせているラルに


綱吉は、呆気に取られる。





「……バイパーか?」
「だな。」





コロネロが、ピンク色の花びらに手を伸ばすと


それは、真っ白な雪へと姿を変えた。






「冷たっ!?」
「これが『雪』だよ、ラル。」
「へー……バイパーは、本当に凄いな!」
「ありがとう。」





初めて見る物達に、大はしゃぎしているラルに


バイパーも、小さく微笑む。





「……どうやら、俺達の出番は無さそうだね?」
「どうだ、ラル?少しは『外』が分かったか?」
「っ!?」





リボーンに声を掛けられたラルは


すすす、とバイパーの後ろに隠れて、小さく頷く。





「………まだ、俺への警戒は解けねーのかよ…」
「自業自得だろ?バーカ。」





がっくりと、肩を落とすリボーンに



バイパーは、勝ち誇った表情を浮かべて見せた。







前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ