09/30の日記

14:36
Scene 8 逃走劇
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とある昼下がり。



一仕事を終えた、リボーン・コロネロ・バイパーが肩を並べ歩いていると





「うおっ!?」





コロネロの背中に突然


ドン、と衝撃が走ったので振り返り見てみると



ラルが、ジっとコロネロを見上げている。





「……ラル?どうした……て、おい!?」





ラルは、コロネロの質問に答える事無く


軽い身のこなしで、コロネロの肩に飛び乗る。





「おい、ラル!?何なんだ、コラ!?」
「……何か、怯えているみたいだよ?」
「猫は、高い所に逃げ様とする習性が有るからな。」





コロネロの頭を、ぎゅっと抱き抱えてるラルの身体は震えており


リボーンとバイパーも心配そうに、ラルを見上げる。





「ラルっ!!」
「っ!?」





そこに響き渡る、怒鳴り声に


ラルの猫耳と尻尾が、ピンと立つ。





「ラル……大人しく、言う事を聞け。」
「嫌だ!来るな!!」





その声の主は、ハイパー化した綱吉で



唯ならぬ、綱吉とラルの雰囲気に


三人は、ポカンと間の抜けた表情になるが





「な…何が有ったかは知らねーが、少し落ち着け、コラ?」
「いくらなんでも、ハイパー化はやり過ぎだ。」
「ラルが物凄く、怯えちゃってるじゃん!?」





今にも、泣き出してしまいそうなラルを


必死に庇おうとする。





「いえ。悪いのはラルです。大人しく、ラルを引き渡して下さい。」





そこに、姿を現したウ゛ェルデの手には

一本の注射器が握り締められており




何となく、状況を把握したコロネロは



自分の肩に掛かっている、ラルの細い脚に

ゆっくりと、手を伸ばすが





「裏切り者!!」
「あっ!?コラ!ラル!!」





コロネロが捕まえ様とするよりも、早く


ラルはコロネロの肩から飛び降り、走り去ってしまった。












…… 一時間後 ……







守護者達も集め、ラルの捕獲に奮闘したが





「つ…捕まらねー……」
「……何だ?あの身体能力は…」
「流石、猫だ……」





誰一人、ラルを捕まえる事が出来ず


一同、グッタリとしている。





「ま。そうでしょうね。」





唯一人、全く身体を動かしていないウ゛ェルデは、涼しい顔をしている。





「ラルは身の軽さだけで言ったら、ハイパー化したボンゴレよりも上ですからね。まず、捕まえられないでしょう。」
「それを、早く言え!」





にっこりと微笑むウ゛ェルデに


獄寺はブチ切れる。





「俺達…無駄に、疲れただけかよ……」
「そんな事は無いよ?皆が疲れてると言う事は、そんな皆から逃げ回っているラルは、もっと疲れてるハズだからね。」
「きっと今頃、何処かで昼寝でもしてますよ。」
「そうか!つまり、今がチャンスて事だな?」





再び、やる気を取り戻す一同だが





「唯……猫は、隠れん坊も得意ですからね……ラルが目を覚ます前に、捕まえる事が出来れば良いんですが……」





ウ゛ェルデの、この言葉に


一瞬で、顔が青ざめてしまった。












…… 更に一時間後 ……








「どう?見付かった?」
「駄目だ。こっちには居ねーな。」
「こっちにも居ないみたい……」
「……ったく…何処に行ったんだ、コラ?」
「そろそろ見付け出さないと、マズイですね……」





皆で手分けして、ラルを捜しているが


『ラルが見付かった』と言う報告は、まだ入ってこない。





「どうしたんですか?皆さんお揃いで。」
「あ、草壁さん!ラル、見ませんでしたか?」
「え?……あぁ。彼女なら雲雀の所に居ますよ?」

「「「「えぇぇぇ〜!!??」」」」





思わぬ目撃情報に、誰もが耳を疑う。





「何故、雲雀の所に居るんだ!?ラルは雲雀にも懐いているのか!?」
「……何か、必死だな、コラ…」
「哀れだね。」
「い、いえ……決して、雲雀に懐いている訳では無いと思いますよ?あの二人が言葉を交わしてる所は、見た事有りませんし……」
「じゃあ……何故、ラルは雲雀さんの所に?」





草壁の言葉からすると、ラルが雲雀の所へ行ったのは

今日が初めて。と言う訳では無さそうだ。





「彼女は、縁側がお気に入りみたいですよ?」
「縁側?」
「一週間くらい前からですかね?突然、ふらっと現れては、縁側で丸くなって寝て……気が済んだら、ふらっと帰る様になったんですよ。……やはり、そう言う所は、猫みたいなんですね。」
「そう…ですね……」
「では。自分は用が有るので、失礼します。」





草壁は一礼し、去って行く。





「えっと……取り敢えず、ラルは雲雀さんの所だと言うのは分かったけど………誰が、迎えに行く?」
「僕は嫌だよ。アイツには関わりたく無いからね。」
「雲雀の所に、気兼ね無く行ける奴と言ったら……」





視線は、リボーンに集中するが





「無理。雲雀が良くってもラルが嫌がるからね。」
「………もしもし、了平?お前、今から雲雀の所行って、ラルを連れて来い、コラ。」
「あ。俺は第一医療室に居ますから、そちらにお願いしますね?」
「ち…違うよ、リボーン?ラルは別に、リボーンの事が嫌い、て訳では無いんだよ?唯…ちょっと苦手みたいな感じなだけで……」
「……部屋に戻る…」





リボーンとラルの距離は、まだ埋まって無いらしく



部屋に戻るその背中は、とても淋しそうだったと言う。






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