【学パロ 高+沖】




いつものように昼食後の牛乳を飲もうと手を伸ばす。
これは身体を丈夫にする為で、学校に登校する日は欠かさず行う儀式だ。
決して身長を気に掛けて飲んでいるわけではない。
あくまで健康の為である。
毎日押しているボタンを押す寸前で、隣のパックに目を移動させる。
昨日まで設置されていない見たことのない紙パックだ。
リッチミルク、と書かれ牛乳の注がれる爽やかなデザインの紙パックである。
すぐに高杉は新しいボタンに指を伸ばした。



食堂を出たところで沖田に出会った。

「あ、晋助、それ何ですかィ」
「新作みてえだ。あそこの自販機で売ってあった」

へえ、いいなー。という目で沖田はそれを見つめる。

「俺も買ってこうよっと。八十円くらいだよな」
「半分俺のやるよ」

高杉は人見知りというわけではないが、決して社交的でもない。
友人は、どちらかというと少ない方だろう。
そんな高杉が自分の購入した財産を分けてやると言うのだ。
沖田は少しだけ驚いたような表情で高杉の片目を見つめ返し――、

「いや、いい」
「……え」

普段は絶対にしないような、阿呆面を高杉は晒す。
しかし彼がそのような面を下げるのも無理はない。
まさか断られるとは思わなかったのだ。

「別に、遠慮しなくても…」
「いや、そういうんじゃなくて」

沖田が、平然と切り返す。



「そんなことしたら、お前と間接ちゅーしちまうじゃねえか」



は、と高杉が息を吐く。
思わず口元が引き攣っていることが分かった。
それはちょっとなあ? と苦笑する沖田は、さっさと高杉を置いて自販機の元へ行ってしまった。
ぶちい、と手元から音がする。
高杉が口元を歪めて笑っていた。
彼の横を通り過ぎようとした生徒が悲鳴を上げて離れていく。
ぼたぼたと、リッチミルクが紙パックから零れて足元に水溜りを作った。
そして高杉は決心する。
間接接吻を露骨に拒まれ、更には苦笑されたその屈辱を胸に。


「総悟、ぜってぇ犯す…っ」









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