SHORT
□repeat
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ふと目が覚めた時、部屋はテレビの明かりで微かに明るいだけの状態だった。そしてすぐに目に入ったのは頭を伏せて寝息を立てている銀髪。こたつでテレビを見ている間に寝てしまっていたらしい。テレビの隅に表示されている現在の時刻を見れば、23時49分。あと11分で年が明けてしまう。せっかく目を覚ました訳だからと銀髪の彼の肩に手をかけて体を揺らして起こしてやる。
「仁王、起きて。」
そう呼び掛ければ仁王はうっすらと目を開けてこちらに目線をやった。すると、眠そうな表情のまま小さく笑う。
「んー…おはよ…。」
ふにゃりとしたその顔は学校での彼とは全く結び付かない。そんなギャップに苦笑いしながら私は黙ってテレビの時刻を指差す。
「ほら、そろそろカウントダウンだよ。」
そう言ってやればようやく体を起こし両腕を上げて伸びをした。
「ん…こたつ温いから寝てしもうたのぅ……。」
ふぁ、と大きな欠伸をする彼に、手で押さえなさい、と注意すればテレビのリモコンを手に取りチャンネルを回す。適当な番組に合わせれば今年の反省を大声で叫ぶ芸人が映っていた。
「今年の反省か…仁王なんかある?」
特に考えずに聞いた問いだった。すると、予想だにしていなかった答えが返ってきた。
「沙柚希と一緒にいれたから、反省することなんてなんもなかった。」
顔から火が出そう。本当にこの表現がぴったりなくらいに私の顔を真っ赤だろう。
「な、にを恥ずかしげも無く…!」
「だって本当のことじゃけん。」
「う…。」
思わず縮こまってしまうと、仁王はすっと隣に来て私の手を握る。
「なぁ、沙柚希。」
「ん?なに?」
仁王は私を真っ直ぐ見つめて微笑む。
「来年も、再来年も、ずっと一緒にいような。」
「…うん。」
もちろん、と付け足して私は手を握り返した。
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