SHORT

□大切な時間
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屋上にあたたかい陽射しが降り注ぐ





サラリと長めの黒い髪が揺れている





重い瞼をゆっくり上げると、愛しい君の微笑みが見える





「…いい天気ですね…」





ふ、と出た一言だった





本当に何気無い言葉だったけど、君は微笑み続けながら口を開く





『…えぇ…そうね…』





短い返事だった





会話と言えるほど長いものじゃない





話したいわけじゃない…





今、言葉はいらない





一緒にいたいだけ





この時間は、何をしているときより落ち着く




愛しい君といられるこの時間





「…沙柚希…」


『なに?』


「…好きです…」


『…“知ってる”…』





この時間を大切にしたい





互いに受験生だからこれから忙しくなる





勉強に負われる毎日でこうして会えることはほとんどできなくなるだろう





『…永四郎…』


「なんですか?」


『…好きよ…』


「…“知ってます”…」







そう言い笑い合った





END
2009/1/15

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