Get&Gift
□【Get】紅林ひさご様よりリサク小説1
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またね、と彼は言う。
一緒に過ごしたほんの僅かな時間の終わりに、彼の口から出るのは、決まってその一言。次の約束にしては曖昧すぎる、社交辞令のようなその言葉。それが決まり。
一緒に過ごす時間は楽しくて、あっという間に過ぎてしまうので、終わりが近づくと淋しくなる。
「理一さん、あの…」
「ん?」
もうじき別れ道、というところで佐久間は口を開いた。
次はいつ会えますか?
それが聞きたくて開いたはずの口が、ふと言葉を見失う。
次も会ってくれますか?
代わりに頭をよぎった質問に、自分でドキリとした。
「佐久間くん?」
「ええと…」
言葉に困った佐久間がへらりと笑ってごまかすと、理一はいつもどおり微笑んだ。
「送っていくよ」
「え?」
常とは違う言葉に佐久間は瞬く。
「もう少し一緒にいたいからね。だめかな?」
当たり前のように足された言葉に、慌てて首を振った。ダメなわけがない、嬉しい。
急激に気分が向上して、家に着くまでできるだけ色んなことを話した。いつもよりゆっくりと歩く理一が嬉しくて、別れ際の言葉には笑って返事ができた。
「またね、佐久間くん」
「はい」