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□【Gift】夢なら覚めて
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 宣言通り、佳主馬の看病はそれはもう濃やかでかいがいしいもので、傍から見ていたとしたら赤面ものだったろうと、佐久間は他人事のように思う。
 傍から、ではない当事者としては――実はかなり気持ちが良い。看護師の母から手ほどきを受けているのか、元々が器用なのか、着替えの手際も良いし(汗を拭かれるのは恥ずかしかったが病人に無茶はしないと怒られた)、食事も美味しい(お粥はこれからリクエストに入れよう)。枕元の水はいつの間にか新しくなっていて、少し寝ている間も汗を拭ってくれているようだ。

 けれど何より嬉しいのは。

「どうしたの?  敬」
「いやあ、何か嬉しいなーって」
 何が?  と目で尋ねるのに、照れながら答える。

「佳主馬が、俺の為だけに色々してくれるのが」

 せっかくの休みを潰させて悪いなーとは思うんだけどね。
 素直に伝えれば、真顔になって強く首を振った。

「これくらい、何でもない」
 ひとりにさせてたことに比べたら。


「ひとりでいるのは、寂しいから」

 かつての大叔父のように。

 音にならなかった言葉に、佐久間はありがと、と一言だけ返した。



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「熱も下がったし、喉の腫れも引いたから、明日からは普通に動けると思うよ」

 今晩ゆっくり休んでね。
 ホッとした佳主馬の声に、佐久間は改めて礼を言った。

「ありがとうございました。お陰様で元気になりました」
 ぺこりと下がる頭に、どういたしまして、と笑顔を返した。

「嫌な夢も見なくなったしね」
 けれど佐久間の小さな言葉を聞き咎め、佳主馬は眉を顰めた。
 そういえば、倒れていた佐久間が目を覚ましたとき、何か言っていた。

「どんな夢見てたの?」
 尋ねてもどうせ夢だからと渋るのがかえって気になった。
「嫌な夢ほど人に言った方がいいっていうじゃない」
 隠してると正夢になるよ、と昔曾祖母に言われたことを思い出して告げれば、観念したように吐き出した。



「…佳主馬にフラれる夢」
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