Short◆S-H

□ヤキモチ 高吉編
1ページ/1ページ


「…あーあ、かっさらわれちまったな」
「三成独りでは心許無かったが…あの女性なら安心だ」
「そりゃあ、な。あれは優秀だからな」
「…三成が優秀でないとでも?」
「…アンタは言い切れるのか?」
「無理だ」
「そっちのほうが非道いだろうが!」

今頃二人揃って盛大にくしゃみでもしているのだろうか。
それを互いに風邪だと勘違いして、やれ粥だ薬だと大騒ぎしているのだろうか。

二人を想うことは、高虎と吉継の心を温め、同時にほんの少し、隙間風を吹かせた。

「…これで良かったのかよ」
高虎は、傍らの情人に問う。視線は虚空に据えたまま。

「お前こそ、良かったのか? あの女性を手放して」
問われた吉継は、同じ問いを情人に返す。瞳は閉じたまま。

互いに、子どもじみた妬心を抱いていると分かっている。
吉継は、はつを愛おしむ高虎に。高虎は三成を気に病む吉継に。

「惜しかない、っつったら嘘になるがな」
でも、と、ようやく傍らの情人に目を向け、頬に触れる。
「これを手放すなんざ、考えられもしないさ」

悪いが諦めてくれと、高虎は吉継に口付ける。

「…それはこちらの言うことだ」
先に逝く身と分かっていても、お前には側に居て貰うと告げる。

「それが、私を生かした報いだ」

「それは俺にとっちゃあ“御褒美”だがな」

どっちでも良いこったと嘯いて、高虎は吉継を抱き寄せた。





************
ヤキモチとか痴話喧嘩とかは単なる惚気なんだよ!愛のスパイスなんだよ!(逆ギレ風味)
もっとお互いヤキモチ焼いて欲しかったな…力不足…。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ