Short◆S-H
□さくらねむり
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「三成ー…っと」
早めに政務を切り上げて(というよりは抜け出して)三成の元を訪れた高虎は、呼び掛けを途中で切らせた。
うららかな春の陽に抗えなかったのだろう。縁側で丸く眠る情人の姿。
たまきの分だったのか、座布団が二枚並べてあったが、今は敷布代わりになっている。
顔を覗き込めばあどけない寝顔。どこから紛れて来たのか桜の花びらがひとひら、ふたひら、三成の髪を彩っている。
(…まったく、な)
幸せそうなのは欲目ではないと信じて、起こさぬようそっと傍らに座る。
だが、影が差したのに気づいたか、三成が目を覚ました。
「高虎…殿…?」
「ああ、起こしちまったか。悪い…」
謝罪の言葉は、途切れた。
「花見を、致しましょう」
日だまりそのままにほわりと笑んで、三成は高虎へと手を伸べる。
その手を高虎の膝に掛け――そのまま、再び眠りに落ちた。
「…そうだな、花見にゃもってこいの陽気だ」
念の為と羽織を三成の身体にかけ、それごと包むように抱き寄せる。
だらしなく側に寝そべって、高虎は情人を飽くことなく眺めていた。
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眠くて書きました…すんません…。