Short◆S-H

□とらわれもの
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「行かせぬ、と言ったはずだ」

お前には聞こえていたはずだ、と挑むように告げる声が鼓膜を揺らす。

「ああ、聞こえていたとも」

声にならないその言葉は、きっと彼に届いている。


「迎えに来てくれるとは思わなかった。こんな嬉しいことはない」

虚空に笑めば、虚空が揺れた。

「迎えに来たわけではないと、分かっているだろうに」

その声にあるはずのない甘やかさを聞いたのは、己の欲が映し出されたからか。

「そうだったな。だって」

お前はずっと、俺を捕らえていたのだから。


漸くその手を取ることができる。


「では、逝こうか」



黄泉路を、共に。





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直豊…のつもりなんですが…やはりまだまだか…。
関ヶ原で掴んだ足を豊久がずっと掴んでればいいなーと思ったんですが、それだとタダのギャグだと気づきました…。

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