Short◆S-H
□とらわれもの
1ページ/1ページ
「行かせぬ、と言ったはずだ」
お前には聞こえていたはずだ、と挑むように告げる声が鼓膜を揺らす。
「ああ、聞こえていたとも」
声にならないその言葉は、きっと彼に届いている。
「迎えに来てくれるとは思わなかった。こんな嬉しいことはない」
虚空に笑めば、虚空が揺れた。
「迎えに来たわけではないと、分かっているだろうに」
その声にあるはずのない甘やかさを聞いたのは、己の欲が映し出されたからか。
「そうだったな。だって」
お前はずっと、俺を捕らえていたのだから。
漸くその手を取ることができる。
「では、逝こうか」
黄泉路を、共に。
************
直豊…のつもりなんですが…やはりまだまだか…。
関ヶ原で掴んだ足を豊久がずっと掴んでればいいなーと思ったんですが、それだとタダのギャグだと気づきました…。