Short◆S-H
□入れ替わる未来
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訪れた有り得べからざる結末を、東軍大将は静かに迎えていた。
内心はともかく、面には失意も動揺も、一欠片も見当たらない。
対峙する二人の大将。
その沈黙を静かに破ったのは、敗将たる家康だった。
「儂は天眼で未来を見た。そなたを引き据え、首を刎ねたのだ」
「…………」
「それが今、こうして儂が引き据えられておる。不思議なものだ」
「…………」
言葉を発せぬ勝軍大将をひたと見据え、家康は促した。
「…さあ、早く首を奪れ」
天下を奪れ、石田三成。
「……奪らない」
漸く紡がれた言葉とともに、三成はかぶりを振った。
「俺はそんな未来を見てはいない」
己の天眼はそんな未来を見せてはいない。
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何も考えずに書いたら両軍大将のお話になりました…。家三じゃありません。
S-H家康、動かしやすいんだなきっと。