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□叶わない恋を弔う10題
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『この恋は忘れてしまおう』
戦場で、出会った。
その人は、主しか見ていなかった。
その人の命は、主のものであった。
自分と同じ、主のためだけに存在するもの。
そのことに共感したから惹かれた、なんてただの言い訳だ。
必死で(それこそ命懸けで!)近づいて、想いを伝えて(最初は気づいちゃいなかったけど)、訴え続けて、ようやく心のひとかけらを手に入れた。
いつかこの日がくると分かっていて求めたのだ。後悔など、するはずはない。
目の前には、蒼の軍勢。
これが、最後の戦いになる。最後に、する。
佐助に与えられた命はただ一つ。
『独眼竜の右目を潰せ』
否やなどない。むしろ望むところだ。
彼を倒すのは、自分。誰にも渡さない。
分不相応な恋をした。
だから、今日で終わらせなければならない。それは彼の人も分かっているはずだ。
忘れよう。
忘れよう。
忘れなければ。
この想いをすべて叩きつけて、持って行って貰おう。
【そう思うことがすでに呪縛】