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□愚か者に祝福を
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「え…えええぇーっ!?」
「Shut up! うるせぇぞ忍び!」
「これが叫ばずにいられるかっての! アンタ何してくれてんのよもう!」
「仮にも一国の主に向かってアンタたあなんだ!」
「アンタなんざアンタで十分だよバカ独眼竜!」
「テメェ言うに事欠いて…ってコラ! 待ちやがれ」

政宗の呼び掛けも終わらぬうちに、忍びは姿を消した。

「…ったく…まあ、どうせあっちで逢えるだろうよ」

いつも憎らしい程に冷静な忍びがああまでHotになるのかと、奥州筆頭は可笑しそうに声をあげた。


++++++++++

「あ〜もうまさかこんなことになるなんて!」
来た道(ともいえない獣道だが)を文字通り翔ぶように駆けながら、佐助は独り毒づいていた。

久し振りに、しかも公務として堂々と奥州を訪ねた佐助は、当然のように小十郎のもとへと忍ぶつもりだった。
しかし小十郎は政宗の使いとして、よりにもよって甲斐へと旅立った後だったのだ。完全に入れ違いである。
佐助が街道を進んでいれば途中で会えたのだろうが、心急いた佐助はいつものように獣道を駆けていたのである。

「もし小十郎さんが甲斐に着いてとんぼ返りなんぞしちゃったら…」

その時は迷わず独眼竜を絞めよう。八つ当たりでも何でもしなきゃ気が収まらない。
物騒な決意を胸に、佐助はますます脚を早めた。
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